前々回と前回はSubstack → noteと渡り歩き、WordPressから少し離れた場所で記事を投稿しました。




今回はその体験を踏まえ、「これからコンテンツを発信するならどこが良いのか」についてお話ししていこうと思いますが、Webライティング()の基本にならい、"はじめに結論から" 提示しておきましょう。
- 稼ぎたいなら全部
- 書きたいならnote
- 広げたいならSubstack
です。
それでは本編をどうぞ。
稼ぎたいなら全部やる覚悟で
「稼ぐ」を「それだけで生活できるレベル」とするなら、やっぱりアフィリエイトが自由にできて収益の上限が高いWordPressやはてなブログProだと思いますが、僕は正直、稼ぐ目的で今からブログを始めるなんておすすめしません。
ブログ単体で稼げる時代はとっくの昔に終わっていて、今ではYouTubeも厳しい。ネットで稼ぐことを本気で考えるなら稼げるテーマを厳選した上で、ブログだけではなくYouTubeもnoteも、TwitterやInstagramといったSNSも頑張る必要があるでしょう。
僕自身、ブログで稼いでいるわけではないので、この話はこれくらいにしておきます。
書きたいならnote
「そんなにガッツリ稼ぎたいわけじゃないし、私はむしろ自分のコンテンツを発信すること自体が目的。だけどあわよくば、副業程度のお金が入れば嬉しいな」という方。
WordPressかnoteで迷っているなら、断然noteをおすすめします。



WordPressは面倒
僕もそこそこ長いことWordPressを運営していて、今でこそ何とも思いませんが、改めて振り返るとめちゃくちゃ大変なんですよ。WordPressのセットアップって。
WordPress云々の前にまずレンタルサーバーとドメインを契約しなきゃいけないし、その時点である程度初期費用もかかります。サーバーやそのプランにもよりますが、多くの場合1万円では足りません。
それが終わってWordPressをインストールしたら、今度はブログの見た目を大きく左右する「WordPressテーマ」も決める必要があります。無料であればCocoonやルクセリタスといったところが有名でしょうか。
テーマが決まったら、そこからまた大変な作業が始まるんですね……たとえばあなたがCocoonを選んだ場合、鬼のような設定項目と格闘しなければなりません。
それに加え、見た目にこだわるならCSSの編集もほぼ必須。場合によってはPHPまで記述する必要があります。
「何でも自分好みに変えられる」のはメリットでもあり、デメリットにもなるってことです。
それに比べて、noteは楽なこと山の如し。アカウントさえ作ってしまえば、あとは「投稿」→「テキスト」とクリックするだけで記事を書き始められます。
カスタマイズの幅が狭いことをデメリットと捉える方も多いですが、最初から正解が用意された環境で始められると考えれば、これはかなり大きなアドバンテージでしょう。
noteのエディタも悪くない
以前は批判の多かったエディタも、2023年現在は普通に使える印象。
僕も前回の投稿で何年かぶりに使いましたが、現在のnoteに不満があるとすればこの程度です。
- 表が挿入できない
- 太字などの文字装飾にマークダウン記法を使えない
一般の方にとっては、最高とは言えないまでも十分でしょう。画像もドラッグで簡単に挿入できるし、モバイルアプリからも更新しやすい。大きなストレスを感じる場面が少ないというのも、noteの強みかもしれません。
記事単位で有料化できる
また収益を得る手段も、WordPressやはてなブログProとは全くと言っていいほど違います。
あなたが売るのは「高性能のスタンディングデスク」でもなければ、「生活が変わる神コスパガジェット」でもありません。あなた自身のコンテンツそのものです。
有料コンテンツの作成手順もすごくシンプルで、1記事100円〜 と記事単位で販売できるのも他には無い魅力でしょう。詳しくは公式のヘルプページを参考にしてください。
有料記事を書く(有料ラインの設定) – noteヘルプセンター
(※ noteはAmazonアソシエイトのみ、アフィリエイトに対応しているので、高性能のスタンディングデスクを売ること自体は不可能ではありません。アフィリエイト収入がメインにはなりにくいという意味でご理解ください)
note唯一の弱点は「検索流入」
「執筆」や「販売」に対する心理的ハードルを徹底的に下げることを意識したnoteは、これからコンテンツを発信していきたいと考えている方にはおすすめできるプラットフォームですが、WordPressブログにどうしても敵わない点が1つだけあります。それが「検索流入」です。
このブログはおおよそ85%がGoogleやBingなどの「検索エンジン」からアクセスを得ています。仮に月5万人がアクセスしているとすると、そのうちの4万2千人ほどは何らかのワードで「検索した結果」のアクセスです。
これがnoteではほとんど期待できません。検索結果というのはドメインごとにある程度管理されていて、同じドメインに属するページが検索結果にズラッと並ぶなんてことが無いように操作されています。
ズラッと並べたいなら、「〇〇 site: qiita」といった感じで、ユーザー側がドメインを指定する必要があるんですね。
ということは、あなたの記事をGoogleの検索結果に表示するには、まずnote内でトップを取らなければならないということです。これがどれだけ大変かは、想像に難くないでしょう。
検索流入を捨てれば楽になる
ただ僕はコレすらnoteのメリットになると考えています。
note記事は、Googleの検索順位なんて考える必要が無いんです。
WordPressブログの記事は検索流入をどうしても考えざるを得ません。それが無ければ本当に誰からもアクセスされないからです。そうするとどうなるかと言えば、
- ある一定のクオリティを保つために調査・検証を繰り返し、
- ある一定の網羅性を担保するために文字数が増え、
- ある一定の順位を保つために記事をリライト (書き直し) する必要がある
要するに書くのも、アクセス数を稼ぐのも、それを維持するのもしんどいってことです。
一方note記事は検索流入に頼らなくても、
- 公式アカウントにピックアップされる
- 他のユーザーのマガジン (記事まとめのようなもの) に追加される
- TwitterなどのSNSで拡散される
といった、検索とは別のルートでアクセスが増える可能性があります。確かに継続的なPV数で言えばWordPressに分がありますが、まずコンテンツを世に出すことを考えるならnoteの方が早いし、結果も出やすいのは言うまでもありません。
広げたいならSubstack
上記のような理由から、僕が初心者におすすめするのはnoteです。じゃあ最後に残ったSubstackはと言うと、noteとは全く逆。
「既にご自身で何らかのメディアを運営している方」におすすめします。



Substack自体をよく知らないという方は、堀正岳さんのSubstack「ライフハック・ジャーナル」の記事が参考になるでしょう。



またアカウント登録から投稿までの流れが知りたいなら、こちらのnote記事がわかりやすいかもしれません。



こういった情報を踏まえた上で、Substackを僕なりに一言で表現するなら「コンテンツの幅を広げ、クリエイターの可能性を広げるプラットフォーム」。
僕自身のSubstack記事でも触れましたが、ポイントはここです。
ブックカタリストに学ぶSubstack
Substackはテキストだけではなく、音声や動画といったマルチメディアの配信にも対応しています。これを上手く利用しているのが、作家の倉下忠憲さんとごりゅごさんが運営する「ブックカタリスト」。



そのキャッチコピーは「面白かった本について語るPodcast & ニュースレター」です。
Podcast。つまりブックカタリストのメインコンテンツはテキストではなく「音声」なんですね。
WordPressブログでもmp3などの音源をアップロードすることはできますが、テキストである「記事」との親和性が高いとはとても言えません。これはnoteも同様です。
Substackならどう見えるかというと、
noteとは打って変わって調和の取れたデザイン。
機能面でも充実していて、30秒スキップや15秒戻る、再生速度の変更といった操作が可能となっています。
そしてより重要なのは、これがただの音声ファイル再生機能ではなくPodcastであるという点。
この音声、Substackのページを開かなくてもAppleのPodcastアプリやSpotifyで聴けるんです。
そしてそれは、AppleのPodcastアプリやSpotifyからの検索流入が見込めるということを意味します。試しにPodcastアプリで「運動しても痩せないのはなぜか」と検索してみましょう。
見てください。
武田鉄矢を差し置いての一位。もう何も言うことはありません。
(なおこの原稿を書いている途中、丁度いい内容の記事が当のブックカタリストで配信されていたので、こちらもご紹介しておきます)



コンテンツの幅を広げると、リーチできる層も広がる
従来の文章や画像だけではなく、音声にコンテンツの幅を広げれば、「テキストを読む層」だけでなく「Podcastを聴く層」にもアプローチできる。
さらにSubstackがニュースレターであり、更新情報をメールで直接届けられること。通りすがりの閲覧者とメール登録者、課金ユーザーを区別し、閲覧可能なコンテンツをコントロールできることなどを考え合わせると、Substackは初心者というよりも、
- ブログやnoteである程度のアクセスがあり、Podcastの配信にも興味があるクリエイター
- 自作の音源にテキストを合わせ、想いを乗せて届けたいDTMerやミュージシャン
- 固定ファンと密なコミュニケーションの場を築きたいナノ・インフルエンサー
など、「次の一手」を考えている方におすすめのプラットフォームであると言えます。
弱点は「ハードルの高さ」と「モバイルアプリ」か
ただしSubstackにもいくつかの弱点があることをお伝えしておかなければなりません。この点が気に入らなければ、Substackはそもそも選択肢から外れてしまうでしょう。
- インターフェイスは全て英語であり、日本語には対応していない
- スマートフォンなど、モバイル環境から更新しにくい
- 収益を得るハードルが高い
実際に使ってみて、特に気になったのは2つ目です。
Substackのモバイルアプリは現時点では「Reader」であり、編集機能が備わっていません。必然的にスマートフォンやiPadからもWebブラウザ経由で編集することになります。
ただこれが正直、苦痛を感じるレベルでやりにくい。
僕はワケあってSubstackの記事を7割程度iPhoneで書きましたが、もうやりたくありません。
noteのように記事単位で低価格のコンテンツ販売ができず、月額5ドル以上の定額課金という選択肢しか用意されていないのも、人によってはマイナスポイントでしょう。
個人的な使い分け
WordPress、note、Substack。その他無料ブログやはてなブログにも、弱点は必ずあります。それぞれの特徴を理解した上で、ご自身のニーズや思想に最も合った場を選んでください。
ここからは完全に個人的な話になるんですが、今後はWordPressメインという基本路線は変えず、noteを併用しようかなと考えています。
WordPressだとどうしても「記事」にしようとしてしまうので、noteではその前のドラフト的なもの、あるいは検索されにくいトピックや短めの雑記を投稿するとか。そんな感じですね。
Substackは今のところ、エディタが使いにくいのもあって更新は考えていません。
それこそPodcastとかやるならSubstackかなぁ……今のところ予定はありませんが。