前回までの記事でAndroid Studioのインストール、プロジェクトの作成、基本的な画面構成の解説まで終了しました。
しかしまだこの時点では、コードを「アプリとして実行する」ことができません。実機無しでプロジェクトをテストするには、
- 仮想デバイスを作成する
- アプリを仮想デバイスにインストールして実行する
といった手順を踏む必要があります。
今回はAndroid Studioのエミュレータ機能によってPC上に仮想のAndroidデバイスを動かし、初めてのプロジェクトをアプリとして実行していきたいと思います。
後半ではエミュレータの日本語化、エミュレータの基本的な操作方法についても触れているので、そちらも合わせてご覧ください。
仮想デバイスを作成する
最初に仮想デバイスを作成しますが、ぶっちゃけ今回の記事はこの部分が大半を占めます。
ボリュームは多少ありますが特別難しいことは無いので、気楽に行きましょう!
AVD Managerを開く
まずAVD Managerを開きます。ツールバーの「No Devices」と表示されたドロップダウンリストから「Open AVD Manager」を選択、もしくは「AVD Manager」アイコンをクリックしてください。
仮想デバイスが登録されていなければ、下のような画面が開きます。
「Create Virtual Device」をクリックして、新しいデバイスを作りましょう。
デバイスを選択する
次の画面には左側にカテゴリ、真ん中にカテゴリに属した端末、右側にはその端末の情報が表示されます。
今回はPhoneカテゴリの中から、「Pixel 3a」を選んでみます。
Google Play ストアがインストールされているシステムイメージです。これらのイメージは、
- 実機と同じように、他のアプリをストア経由でインストールできる
- root化できない
- エミュレートできる機種が限られる
といった特徴があります。
実機により近い環境でテストしたければこちらを選びますが、今は深く考えず好きな端末でOKです。
デバイスを選択したら「Next」をクリック。
システムイメージを選択する
クリックすると、こんな画面が開きます。
色々と書いてますが、ここでは上で選択した端末(今回はPixel 3a)に搭載する中身(CPUとOS)を選んでいると解釈しておいてください。
それぞれの意味はこんな感じです。
Release Name | API Level | ABI | Target |
---|---|---|---|
Androidのコードネーム | Android APIのバージョン | CPUの種類 | OSの付加機能 |
Android 8(Oreo)のように、Relese Nameが同じでもAPI Levelは異なることがあります。
さらに右側の2つ、ABIとTargetに注目してみましょう。
ABIの種類 | 意味 |
---|---|
x86 | 32bitのIntelプロセッサ |
x86_64 | 64bitのIntelプロセッサ |
arm | ARMプロセッサ (HAXMでの高速化非対応) |
mips | MIPSプロセッサ (HAXMでの高速化非対応) |
Targetの種類 | 意味 |
---|---|
(無印) | root化できる / サイズが比較的小さめ |
Google APIs | root化できる / Google API対応 (Google Mapなどが利用可能) |
Google Play | root化できない / Google Play Store対応 |
色々ありますが、迷うようなら下記を基準にしてみてください。
- APIレベル9.0以上 (最新の機能を使いたければ、そのAPI)
- x86_64のABI (64bitの方が幅広く対応できて無難)
- Google APIs (他のアプリとの連携などを考えなければ、これが無難)
ということで今回はAPIレベル30、64bitプロセッサ、Google API入りのシステムイメージを構築したいと思います。
システムイメージをインストールする
上のタブで「x86 Images」を選択して、該当箇所の「Download」をクリック。
ライセンス契約の同意画面が開きます。
Acceptを選択して「Next」をクリックすると、システムイメージのダウンロードが始まります。
かなりヘビーなファイルなので、ダウンロードにはしばらく時間がかかります。エアロビ笑点でも観ながらお待ちください。
https://www.youtube.com/watch?v=fBE2t2lN9gA
ダウンロードが終了すると「Finish」ボタンが押せるようになります。
上は「Finish」を押した後の画面。「Download」の文字が消えているのが分かります。この状態で「Next」をクリック。
デバイス設定の確認画面です。ここは特に変更する必要は無いと思います。「Finish」をクリック。
これでデバイスが登録できました。このリストはそのまま閉じてOKです。
エミュレータでアプリを実行する
仮想デバイスを確認する
ではエミュレータを使ってアプリを実行していきましょう。
これまでの作業で、Android Studioに仮想デバイスが登録されたはずです。ツールバーの仮想デバイスリストに、作成したデバイスが表示されているでしょうか?
ドロップダウンリストに、作成した仮想デバイス名が表示されていればOKです。
コードを実行する
いよいよコードを走らせていきます。仮想デバイスリストの右側、再生ボタンをクリックするか、Shift+F10ショートカットキーでアプリとして実行しましょう。
初回起動時にはある程度時間がかかります。
起動中…
無事に起動すると、「Hello World!」が画面中心に表示されます。
この仮想デバイスは、コード実行しかできないわけでは勿論ありません。ホームボタンを押すと、
Chromeを起動することだってできます。しかし所詮はエミュレータ。動作がクソ重いので、通常のデバイスのようにYoutubeを観たりすることはおすすめしません。
仮想デバイスの日本語化
次に仮想デバイスを日本語化しておきます。この記事ではPixel 3aを使いますが、選択したデバイスによって多少異なる場合もあるので、その場合は似たような箇所を探してください。
画面上でCtrlを押しながら上にドラッグ(これでスワイプ動作になります)。
インストールされているアプリのリストが開きます。
この画面の「Settings」をクリックして、設定画面を開きます。
設定画面を下にスクロールして、「System」を選択しましょう。
上の3画面は駆け足。
- 「Language & input」
- 「Languages」
- 「Add a language」
をそれぞれ選択。
次の画面を下にずーーっとスクロールしてください。「日本語」が出てきます。これをクリックすると、
「日本語 (日本)」がLanguagesのページに追加されます。右側の「=」マークを上にドラッグして、Englishの上に持っていきましょう。
これで日本語化が完了!
エミュレータの基本操作
最後にエミュレータの基本的な操作を押さえておきます。
メニューバーの動作一覧
デバイスの右側に表示されたメニューバーから、ほとんどの操作を行うことができます。下の画像で確認しておいてください。
マルチタップとスワイプ
マウスポインタを画面上に持っていき、Ctrlを押すと2つの点が現れます。
- マルチタップ -> そのままクリック
- スワイプ -> Ctrlを押しながらドラッグ
でできるので、試してみてください。
今はこのまま終了しておきます。電源を落とすだけなら電源ボタン、エミュレータ自体を終了するなら×ボタンです。
次にすること
これでやっとコードを実行し、エミュレータ上でアプリの動作を確認することができました。お疲れさまでした。
次回はエミュレータではなく、HUAWEI製のタブレットで実機テストを行っていきます。
また実機テストが必要無い方は、Android Studio導入直後に設定しておきたい項目について確認しておくのもおすすめです。