アトミック・シンキング – あなたに、ちょうど良い本

「本を読んでも内容を思い出せない」という方。読書メモを書けばスッキリするかもしれません。

「そうは言っても、文章を書くのが苦手」という方。良い上達方法、知りたくありませんか?

「文章なんていつも書いてる」という方。その文章、書いたままどこかで眠ってたりしませんか?

今回はそんなあなたに、ちょうど良い本、ご紹介します。


アトミック・シンキング: 書いて考える、ノートと思考の整理術

著者との関係について

ということで、以前から楽しみにしていた五藤隆介 (ごりゅご) さんの著書、『アトミックシンキング』が8月11日、Kindle書籍として発売されることが決定。いやぁめでたい!
さらに発売日直前、「ぜひ読んでください」と嬉しいお申し出をいただき、一般の方に先駆けて読ませていただけることとなりました。

ごりゅごさんと言えばナレッジスタックや、ポッドキャストのごりゅごCast、ブックカタリストなど幅広く活動されているのでご存知の方も多いかと思いますが、僕は以前出版した自著の下読みをしていただいたり、Zoomでもお話しする機会があったり、それはもう大変お世話になっている方でございます。

(ちなみに今回のブックカタリスト 第44回はこの『アトミック・シンキング』。著者の本に対する想いが存分に楽しめます)

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そう言うと「なんだよ。ゴリゴリの癒着じゃねぇか」とか思われそうですが、残念ながら汚れた関係ではございません。なぜこの話を最初にしたかというとですね……この本、すごく著者の性格が滲み出てると感じるんですね。

まぁその話は後に置いておくとして、まずはこの『アトミック・シンキング』がどんな本で、何について書かれている本なのかを少し解説しておきましょう。

アトミック・シンキングって何の本?

この本を僕なりに一言で言い表すと、「考えるために書くため」の本です。全体としては3部構成で、それぞれ

  1. アトミック・シンキングとは
  2. アトミックなノートの書き方
  3. アトミックノートをまとめるトピックノート

と銘打たれています。

Obsidianなどのツールの話はちょこっと出てきますが、詳しい使い方などは掲載されていません。今回はある特定のツールではなく、概念や考え方、アトミックな書き方に対する理解に重点を置いた構成となっています。

アトミックとは?

この「アトミック」、原子を表す「アトム」からきている単語で、原子といえば元素の最小単位
そして元素と言えばご存知、元素記号のアレ。つまり水素や窒素、マグネシウムや金が、それぞれの特性を保ちつつ存在しうる最小単位が「原子」です。

これ以上分割してしまうと、もうそれは窒素でも金でもなく、陽子や電子といった「素粒子」にまで分解されてしまう。その手前の原子のような状態、すなわち「(文字や数字ではなく、意味の通じる) 文章として、可能な限り小さな単位」でとられたノート。それがアトミック・ノートであると解釈できます。

そのノートだけで内容が完結し、そのノートだけを見れば意味が伝わるように書かれたノート。
これ以上分割できない最小単位まで細かく分割された状態のノート。
(アトミック・シンキング)

これだけわかればすんなり読める

この「アトミック」という言葉のイメージさえ掴んでしまえば、あとはすんなり入っていけるでしょう。本の冒頭部分を超要約してしまうと、

  1. 頭の中だけで考える? そんなもん無理に決まってるでしょ
  2. だから書いて、それを見ながら考えろ
  3. しかし書くだけでは役に立たない。考えるのに適した書き方こそが「アトミック」である
  4. アトミック・ノート、アトミック・シンキングとはこういうものだ

ここまでの流れが非常にシンプルでストレート。特にアトミック・ノートの定義解説は見事なまでに簡潔で、美しさすら感じる。

ボリュームはたっぷり

また「すんなり入れる」と言っても、決して軽い本ではありません。
KDP (セルフパブリッシング) の本でありがちな内容の薄い本とは一線を画す重厚感があり、読み応えはバッチリ。読書メモとりながらだと、1日では終わらないくらいの分量があります。

Amazonのページでは「本の長さ:129ページ」となってますが、感覚としては200ページくらいある印象。

感想

要は頭の中で扱えるよりも多くの要素を盛り込んで「考える」。これをゴールとし、そのために「書くこと」にフォーカスした本ということですね。

あまり細かく内容を説明してしまうのもアレなので、解説はこれくらいにして、ここからは僕の感想をお伝えすることにしましょう。キーワードは「著者の二面性」です。

リーダーの一面

ブックカタリストやナレッジスタック、ごりゅごCastでのごりゅごさんは、「博識だけどとっつきやすい、どちらかといえば物腰の柔らかな人」というイメージ。
これは実際にお話ししてもそう感じるんですが、一方で「思ってることをズバッと言う」一面もあるんですね。

この一面が本の冒頭、めちゃくちゃ前面に出ていると感じました。文体は「ですます」調で柔らかなものの、文章の構成としてはこんなニュアンスで進んでいきます。

  • "アトミック"とは〇〇だ!
  • "文章を書くこと"は、簡単には身につかない「スキル」である!
  • "第二の脳"とは、こんな存在だ!

「だ」「である」で終わる文章は、その時点で読者にとって不確かなものをどんどん「定義付け」て、最終的な「ゴール」、向かうべき目標を示す文章。
まるでチームのリーダーのように、読者を導いていく力強さがある一方、この冒頭部分は読者にとってかなり淡白な印象を与えるかもしれません。(この辺の話はブックカタリストでも語られています)

カウンセラーの一面

最初のうちはこういった力強い文章で進んでいくんですが、あるポイントで急にスピード落としてくるんですね。これが面白い。

  • でも……書くことって大変だよね
  • わかるわかる。俺もそうだもん
  • 大丈夫。最初は下手でもいいから、ここからやってみようよ

まさに皆さん、これがツンデレというやつです。
読者に寄り添う、カウンセラー的な文章。どちらかと言えばいつものごりゅごさんのイメージに近い感じでしょうか。

この緩急、二面性が本全体にわたって交互に現れます。僕はこれが非常に楽しかったんですが、一般の方からするとかなりマニアックな楽しみ方かもしれません……。

最後に

「書いて (第一部)、小さな部品として管理して (第二部)、つなげて組み上げる (第三部) 」

これがアトミック・シンキングの核となる考え方だとすれば、 (言葉は違えど) 僕もまさに同じような手法を実践している一人です。
こういった手法はある程度の期間、実践してみないとなかなか効果がわかりづらいんですが、ある日突然実感できる日がやってきます。たとえば読書メモだと、本と本がつながる感じ。

「これってあの本にも書いてあったな」とか、「そういえばこの部分って、前に調べたアレと関連付けられそう」とか。
この「そういえば」が結構重要で、全く違った分野の知識が問題解決の糸口になったりするんですね。しかもこれは多くの場合、ツールによって自動的にサジェストされない、人間だからこそ気付くつながり。
アトミックに情報を管理していると、「そういえば」の瞬間が割と頻繁に訪れます。

「考えるために書く」、「自分の言葉で書く」重要性も存分に理解できる良書だと感じました。

  • 読書メモに興味がある
  • Zettelkastenと言われても、いまいちピンとこない
  • ScrapboxやObsidian、Roam ResearchやLogseqを使ってみたい

こんな方には特におすすめできる、難易度も分量も「ちょうど良い」塩梅の本となっております。ぜひ手に取ってご覧ください。


アトミック・シンキング: 書いて考える、ノートと思考の整理術

追伸

次回のブックカタリスト第45回では、僕もゲストとして出演させていただきます。他の回も面白いから、聴いてね!

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