今最もアツいデジタルノートアプリと言えば、NotionとObsidianでしょう。となると、当然ながらこんな疑問を持つ方も多いはず。
- NotionとObsidianって結局、どっちがいいの?
しかし注意しておきたいのは、この2つが『実際は全くの別物である』ということ。
どれくらい違うかって? それはもう「アスカと綾波くらい違う」と言うしかありません。
今回はNotionとObsidianの対照的な違いとその棲み分けについて、好対照なキャラクター2人の議論を通じて比較しましょう。
(エヴァンゲリオンをご存じない方には地獄のような時間が始まります。予めご了承ください)
Notionは即戦力、Obsidianはユーザー次第
Notion「いいわね。最初からフル稼働、最大戦速でいくわよ」
プラグインがどうたらこうたら、面倒なことする必要無いの。 Notionは起動した瞬間、何もかも揃ってんだから!
新しくページ作ったら、タイトル決めて普通に書けばいいの!
画像はドラッグで追加できるし、見出しもリストもリンクだって、スラッシュ打ち込めばなんとかなる。
カラム分けもドラッグでできるから、テキストの配置も自由自在!
Notionにできないことなんて無いんだからっ!
Obsidian「命令があればそうするわ」
スラッシュで見出しなんて、マークダウン記法があれば不要。## これは見出し2
、1. これは番号付きリスト
。
Obsidianはそんなところにリソースは割かない。テキストを装飾したければマークダウンを使う。それだけ。
他に欲しい機能があれば、250を超えるプラグインを駆使すればいいこと。
ただし覚えておいて。Obsidianはあなたが命令しなければ何も助けてくれないし、初期状態ではほとんど何も無い。
カスタマイズが面倒だと思うならNotionを中心に考えるべき。そこは認めるしか、ない。
Notionはマクロ視点で俯瞰し、Obsidianはミクロ視点で傾注する
Notion「これこそ実戦用に造られた、世界初の本物なのよ」
ちょっと。いつまで1つのページを編集し続けてんのよ?
Notionの醍醐味は何と言ってもデータベースよ。 いいからさっさとスラッシュ打ち込んで「table」って入力しなさいよ!
もうそれだけでデータベースができちゃうの! あんたが何も考えなくても!
データベースを作ったなら、思う存分俯瞰しなさい。 高いところから見下ろしてやるの! ここじゃあんたが一番偉いんだから!
データベースさえ作っておけば、ビューを切り替えることでプロジェクト管理もできるし、日付プロパティを設定しておけばガントチャート表示にだって切り替えられる。
1つのページに固執しないで。Notionを使うならマクロ視点で全体を把握する! これが基本の目線よ! 分かった?
Obsidian「ここはLCLの海。生命の源の海の中」
データベースなら、Obsidianにもできる。
もちろんそれだけじゃない。ドラッグに対応したカンバンビューも、カラフルなマインドマップも、あなたの望み次第。
でもObsidianの本質はそこじゃない。本質はむしろ考えを掘り下げ、知識を広げること。
知らない言葉、知りたい言葉、もっと深堀りしたい思考…それを何でもリンクにしてしまえば、新しいページを開いて考えを掘り下げられる。
思う存分掘り下げて、理解して、そして疲れたらまた別の言葉に思いを広げればいい。
誰もあなたの邪魔はしない。
Notionは本棚、Obsidianはダンボール収納
Notion「バカ、無理しちゃって」
もう…あんたバカぁ? データベース作ったからって、アスカのセリフ集に高野豆腐のレシピ入れないでよ!
データベースは何でもかんでも入力すりゃいいってもんじゃないの! 何よそのプロパティ。気持ち悪い…少しは考えなさいよっ!
いい? Notionのデータベースは、言ってみれば『本棚』なの。きちんと整理整頓しなきゃ。プロパティは最低限必要な数に抑えなさい。
無駄に増殖したプロパティなんて「百害あって一利無し」なんだから!
ったく…なんでこんなことも分からないのかしら…。
Obsidian「大きなお世話よ」
整理整頓? わざわざ面倒なことするから途中で挫折する人が出るんじゃない?
そうやって、嫌な事から逃げているのね?
整理整頓なんてそもそもObsidianには必要無い。
第一Obsidianは、情報をキレイに詰め込んで背表紙を眺めるようなアプリじゃない。
例えるなら『ダンボール収納』のように中身はごちゃごちゃ。パッと見では何が入っているかも分からない。でもそれでいいの。
何か思いついたり、気になることがあればその瞬間に書き込んで、後はタグや見出しでも付けておけばいい。
それで検索には十分だし、他のページから段落や見出しに直接リンクさせることもできる。
日々のメモに『プロパティ』なんて大層なものはいらない。
Notionは外向的、Obsidianは内向的
Notion「独りはイヤァァァッ!!」
何コソコソ孤独にテキスト書いてんのかしら…そんな時代はもう10年前に終わってんのよ!
YouTube見てみなさいよ。無印良品好きそうなYouTuberが「私の使い方紹介しまーす」ってやってるじゃない!
ほら、あんたもページ作ったんなら共有すんのよ! 何もネットに公開するだけじゃない。メールアドレスさえ分かれば、友達をチームメンバーとして招待できちゃうんだから!
Notionはコミュニティツール。みんなとシェアして、共同編集してナンボなの!
あんたのデザインセンスがいくら(ピー)でも、Notionで書けばなんとなくオシャレに見えるんだから、見せるのも恥ずかしくないでしょ?
Obsidian「絆だから…」
そう、絆。
このグラフビューは私が書いたノートの集まり。情報をつなぐ絆。
ネットは時に広すぎる。誰にだって一人の時間が必要なの。
自分の考えをまとめたい、頭の中にあるモヤモヤを吐き出したい。そんな時、情報が押し寄せてくるネットはむしろ邪魔になる。
スタバのラテじゃなくて、家のソファで飲むインスタントコーヒー。誰にも知られない、私だけの時間。
あなたは自分と向き合ったこと、ある?
Notionはクラウド、Obsidianはローカル
Notion「旧態然とした減点式のテストなんか、何の興味も無いわ」
甘い! 甘い甘いあまーい! 何その旧態然とした考え方!
今はね、SaaSが主流なの。ローカルマシンにインストール必須? テキストファイル? チャンチャラおかしいわ!
月額や年額課金制のサブスクリプションアプリ。
データなんてサービスのクラウド上にあればいいのよ。分かる? く・ら・う・ど!
Notionは無料プランでも、Evernoteみたいに端末台数制限とかケチくさいこと言わない。ページ数にも制限なんて無いんだから!
データがクラウド上にあるからこそ、パソコンでもモバイルでも自由に、チームのみんなが同じデータを同時に扱える。これこそがあるべき姿よ!
Obsidian「私が死んでも、代わりはいるもの」
Notionのサービスが突然終了することは恐らく無い。でもサーバがダウンしたことはある。
データはアプリの所有物じゃない。私が自分で管理し、私が引き出したい時は確実に、いつでも引き出せないといけない。
今はまだ、Notionの無料プランにはあまり制限が無いかもしれない。でもEvernoteが改悪を繰り返した歴史を、まさか忘れたわけじゃないでしょう?
Notionがそうならないと、どうして分かるの?
その点ローカル環境に、汎用的なテキストファイルでデータを保存しておけば安心できる。たとえObsidianが死んでも、データを開ける代わりのアプリはいくらでもあるもの。
だから、お互いに補完し合わねばならない
やはり議論は平行線のようです。元々の思想が正反対の両者が、分かりあえる日は来ないかもしれません。
Notion | Obsidian | |
---|---|---|
機能 | 即戦力だがカスタマイズは限定的 | カスタマイズ豊富だが準備が必要 |
視点 | マクロ視点で一覧性重視 | ミクロ視点で思考整理重視 |
データの管理 | 整理整頓が基本 | 検索やリンクが基本 |
指向性 | コミュニケーションと共同編集 | 個人的知識の集積と問題解決 |
データの保管場所 | クラウド | ローカル |
しかし、だからいいんです。
違うからこそお互いの弱点を補完し合い、せめぎ合うことで最適解が見いだせることもある。つまり僕が言いたいのは「無理やり1つに絞ろうとするな」ということです。
同じ機能を持つアプリを削減し、情報の一本化を図る。それも確かに大切なことです。しかしそれにこだわりすぎると、
- ある部分では前の方がやりやすかったのに、無理やり新しいアプリを使っている
- 逆に作業量が増える
なんてことになりかねません。
一本化を軸にしながらもバランスを考え、使わない機能を無理に使おうとしない。これからのユーザーに求められるのは、そういったスキルかもしれません。
今回はいつもとは一風変わった趣向でお送りしました。楽しんでいただければ幸いです。
ということで、最後はエヴァファンにお馴染みのセリフで締めくくりたいと思います。それでは皆さん、ご一緒に。
「さぁーてこの次も、サービスサービスぅ!」

