前回の準備編では英語学習のための動画をYouTubeから選び、快適に学習できる準備を整えました。
今回は実践編。これまでの準備を前提として、
- YouTubeを使った英語学習の流れと、具体的な方法
- 学習の際、注意すべきポイント
を中心にお伝えします。
YouTubeを使った英語学習の流れ
さてこれからどうやって進めていくのか。まずはその全体像を把握しておきましょう。と言っても、僕が考える英語学習の流れはシンプルです。
- 英文の中で分からない単語やフレーズがあればその意味を調べる
- 音声を聴いて、自分が理解している音と実際の音とのギャップを無くす
- 聴こえてくる音をそのまま口から出す (シャドーイング)
- 詰まらず言えるまで繰り返す
ここに「覚える」などという工程は存在しません。大事なのは意味が分かる英文を聴き取り、それを繰り返し口から出すこと。
この方法は学習というよりスポーツの練習に近く、かなり負荷が高いです。しかしその分、特にリスニング力は飛躍的にアップします。ぜひネイティブの英語を聴き取れる感覚を体感してみて下さい。
単語やフレーズの意味を調べる
前回に引き続き、例としてナショジオの動画を使用します。ご自身で選んだ動画があればそちらを使ってください。
では最初にスクリプトの冒頭を見てみましょう。
The dolphin dives down heading straight for diver Keller Lauros.
意味が分かるかチェックする
まずチェックしておきたいのはスクリプトを読んで意味が分かるかです。怪しい単語やフレーズがあれば、その部分をオンライン辞書などで検索してください。
僕は英和の場合アルク、英英ならケンブリッジを利用することが多いです。
ここでの注意点は動画の日本語字幕を当てにしないこと。例えばこの一文の字幕はこうなっています。
イルカはダイバーのケラーに向かってきます。
確かにこれで意味は伝わりますが、学習の観点から見れば意訳しすぎです。この訳では「dive down (潜水する)」や、「heading straight for 〇〇 (〇〇に真っ直ぐ向かって)」が正確には表現できていません。
イルカはダイバーのケラーに向かって、真っ直ぐ潜ってくるんです。
動画を楽しむのではなく学習するのなら、日本語字幕はほぼ使いません。原文のニュアンスを捨てないように気を付けましょう。
単語やフレーズの意味をObsidianに書き込む
単語やフレーズの意味を調べたら、それをObsidianに書き込みます。
- 対象語句を選択
[[
と入力。語句が[[ ]]
で囲まれる- Ctrl+クリックすると新規ページが作成され、そのページが開く
開いたページに辞書で調べた訳を貼り付けます。訳や例文が複数ある場合は全て貼り付けてしまうのがおすすめ。
貼り付けが完了したら元のページに戻ります。訳を確認するには編集画面でCtrl (Command) を押しながらマウスオーバー。事前準備としてOptions > Core plugins > Page previewをONにしておきましょう。
理解を進める
意味を調べることでこの一文は、あなたにとって理解可能な英文となりました。この作業を繰り返します。
今回の動画は3分という短さなので、全ての語句をチェックしてもそこまで長時間かからないはずです。動画が長い場合は場面ごとなど、ある程度の長さに区切って次の段階に進んだ方がいいと思います。
中にはどう検索しても動画の状況にピッタリ当てはまる訳が出てこないこともあるので、その場合は潔く諦めましょう。
理解する作業に時間をかけすぎてしまうのはおすすめしません。1つの動画で100%を求めるより、80%や90%を数多くこなす方が利口です。
音声を聴く
文章の意味が理解できれば、次に動画の音声を一文ずつ聴いていきます。ちなみにYouTube動画はキーボード操作が可能です。代表的なものはこちら。
キー | 操作 |
---|---|
Space | 再生 / 停止 |
K | 同上 |
F | 全画面表示 |
L | 10秒進む |
J | 10秒戻る |
→ | 5秒進む |
← | 5秒戻る |
↑ | 音量UP |
↓ | 音量DOWN |
> | 再生速度UP |
< | 再生速度DOWN |
音声が速すぎると感じた場合は無理せず、再生速度を落としてチャレンジしてください。
聞き取れるかチェックする
ここでのポイントは音声とスクリプトが一致するかどうか。
動画を少し進めて、女性がインタビューに答えているシーンを聴いてみましょう。
It’s a very dangerous situation for them because they’re air breathers.
この部分は初見だと少し難易度が高いかもしれません。最後の「air breathers」日本語読みすると「エアー・ブリーザーズ (空気を吸う生き物たち)」ですが、実際にはそう聴こえないはずです。
「air breathers」が「エブリー」に聴こえたりするなら、その大きな原因は、あなたが理解している発音やリズム(エアー・ブリーザーズ)と実際の音(エァブレィダァズ)とのギャップにあります。リスニング力を高めるためには、このギャップを埋めなければなりません。
再生中に違和感を感じればその部分を何度も繰り返し、実際の発音とご自身の理解を一致させてください。
動画の音声をそのまま真似る – 一文シャドーイング
音声の聴き取りと同時に進めたいのがシャドーイングです。基本的には動画の音声から少し遅れて、聴こえた音をそのまま発声します。
スクリプトを見ながらでもかまいませんが、音読というよりは演者のセリフをそのままマネる意識で行います。何度か練習して慣れてきたら、スクリプトから目を離してやってみてください。ポイントとしては、
- 一文ずつ行う
- 詰まらず言えるまで繰り返す
- 他の場面でも使えそうなフレーズは特に意識する
この3点です。
一文ずつ行う
前回の記事でもお伝えしましたが、学習に置いては背伸びしないことが絶対条件です。シャドーイングは一文ずつ、長い文章の場合はある程度で区切って行うのが基本。
一文では物足りない、最初からスラスラ詰まらず言い切れるなら、そもそもその動画があなたにとっては簡単すぎる可能性が高いです。ご自身に合ったレベルの動画をチョイスして下さい。
詰まらず言えるまで繰り返す
英語学習は「練習」です。最初は難しく感じたり、なかなか言えなくて当然。何回か練習すればそれなりに言えるようになるはずなので、ここは頑張るしかありません。
ただここでも完璧を目指さないでください。どうしても難しい箇所は日を開けて取り組むのもいいでしょう。
フレーズを意識する
「これは他の場面でも使えそう」と感じたときが最大のチャンスです。例えば今回使用したナショジオは3分という短い動画ですが、
- You also have situations like this one. (他にこんな例もあります)
- In the first place (そもそも)
などのフレーズが登場してきます。シャドーイングを繰り返して、そのフレーズを確実にあなたのものにしましょう。
まとめ
ここまで2記事に渡り、ObsidianとYouTubeでの英語学習についてお話しました。最重要ポイントはこちら。
- 動画による英語学習は、リスニング力を飛躍的に高める
- 動画は自分が面白いと思うものを前提に選ぶ
- 最初は日本語訳で動画を楽しみ、その後は日本語訳に頼らず進める
- シャドーイングは練習である
- 完璧を目指さない
動画を使った英語学習はそれなりに負荷が高いものの、リアルな英語に慣れるには最適です。
まずはYouTubeで、この「慣れる」という感覚を体感してみてください。