最近自宅の光回線をNTTから別会社に変更しました。それはいいんですが、どうも速度が出ない。インジケータを見ても明らかに電波が弱いのが見て取れます。
「ネットには接続できるけど思ったようなスピードが出ない」場合、考えられる大きな原因は障害物などによる電波の減衰です。
参考までに、僕の家の間取りとWi-Fiルータの設置場所をザックリご紹介しましょう。
主にパソコンを使っているのは①と②の部屋。ルータとの直線距離は10mほどしかありませんが、
- キッチン、風呂場などの水回り
- 電子レンジ (電子レンジの電波はWi-Fiと同じ2.4GHz帯)
- ドアや壁
- 金属類
などがWi-Fiの障害物となり、結果的に通信速度が遅くなっている可能性が。
そこで僕が試したのが「無線LAN中継器」です。
家庭用の無線LAN中継器を設置することで、Wi-Fiの通信速度がどの程度改善するのか。非常に気になるところですが、結果だけ先に言ってしまうと劇的に改善しました。今回はそのレポートとして、
- 購入した中継器の詳細
- 初期設定と設置方法
- 購入する際、気を付けるべきポイント
を中心にご紹介します。ご家庭のWi-Fi環境に不満がある方はぜひ参考にしてみてください。
今回購入した無線LAN中継器
中継器と言っても数多くの製品がありますが、僕が今回購入したのはこちら。
TP-Link WiFi中継器 AC1200 中継器 無線LAN 中継機 867 + 300Mbps ハイパワー ブリッジ デュアルバンド APモード搭載 中継器RE305V3.0 3年保証
スペックと価格
- ネットワーク関連で定評のあるTP-Linkの中継器 型番はRE305 v3.0
RE200から650まで、数種類のラインナップがある (数字が大きいほど高価で高性能) - 全ての家庭用LANルータと互換性がある
- 対応Wi-Fi規格: 11ac(867Mbps)、11n(300Mbps)、11a(54Mbps)、11g(54Mbps)、11b(11Mbps)
- 有線LANポート×1搭載 (100BASE-TX、10BASE-T)
- 5GHz帯、2.4GHz帯のデュアルバンドに対応
- 最大消費電力: 7.3W
- 通常価格3,500円程度 (500円クーポン対象)
クーポンに関しては終了している可能性もあるので、購入前に確認してください。
外観
商品のパッケージと外観。大きさはマウスと同じか、やや小さい程度。
コンセントに直接差し込むタイプで、ボタンもWPSボタン1つしかありません。超シンプル。
付属品
本体以外の付属品は紙のみ。後で解説しますが、多くの方には説明書なんて不要です。
初期設定と設置方法
初期設定はWebブラウザを使う方法、専用アプリを使う方法、Wi-FiルータのWPSボタンを使う方法の3種類がありますが、最も簡単なのはWPSボタン。僕は今回この方法で設定しました。
ただ前提として、Wi-FiルータにWPSボタンが搭載されている必要があります。まずはお使いのWi-Fiルータを確認しましょう。
Wi-Fiルータを確認
ご自宅にWi-Fi環境があるなら最低でもモデムとWi-Fi対応ルータ、2つの機器が設置されているはずです。このうちルータはLANポートが多い方。電話回線のジャックがあるのはモデムです。
このルータにWPSボタンがあるかどうか確認しておきましょう。僕の場合はルータ上部にボタンがありました。「WPS」と刻印されているのですぐ分かります。
ただこのボタン、メーカーによって表記が異なることも多いので注意してください。例えばバッファローのルータでは「AOSS」、Atermでは「らくらくスタート」と表記されていたりします。
設定する
これらのボタンがあれば話は早いです。作業としては、
- 中継器をコンセントにつなぐ (最初はルータに近い場所でつなぎましょう)
- 中継器のPowerランプが点灯したら、ルータのWPSボタンを押す
- 押してから2分以内に、中継器のWPSボタンを1秒程度長押し
これだけです。
しばらくすると、中継器のインジケータが点滅から点灯に変わります。お使いのルータが2.4GHzと5GHz両方に対応しているなら、手順2→3をもう一度繰り返してください。
なおルータが5GHz帯に対応していない場合は右端のインジケータは点灯しません。
インジケータが点灯すれば初期設定は完了。設置場所のコンセントに差し替えればそのまま使えます。僕が設置したのはここ。
少々分かりにくくて申し訳ないですが、Wi-Fiルータからドアを1枚隔てた廊下。ここにコンセントがあったので直接差し込みました。
PCやタブレット側の設定
設置が完了すれば、後は通常の手順でPCやタブレット、iPhoneなどを接続すればOKです。Wi-Fiのリストを開いてみましょう。
元々のWi-Fiとは別に「_EXT」の表記がある回線が2つ加わりました。これが中継器からの電波です。
通常の回線と同様、「-A」が5GHz帯、表記が無いものが2.4GHz帯。どちらか選んで接続しましょう。パスワードは通常の回線と同じです。
5GHz帯か2.4GHz帯か
念のため、5GHz帯と2.4GHz帯の違いをごく簡単に説明しておくと、
- 5GHz帯は最高速度が速く、障害物に弱い
- 2.4GHz帯は障害物に強いが、Bluetoothや電子レンジなどの影響を受けやすい
つまり電波の受信レベルが同じなら、5GHz帯が第一候補と考えて間違いありません。
インターネット回線の速度比較
作業としてはこれだけですが、最も大事なのは「中継器を設置することで、どれだけ通信速度が改善されるのか」という点。早速比較してみましょう。
使用するのはFast.com。Webブラウザでアクセスするだけで通信速度を計測してくれる便利サイトです。
元々の通信速度はこちら。
複数回計測しましたが、最低20Mbps~最高50Mbpsといったところ。電波の減衰がそのまま速度にも現れています。Wimaxでも50Mbps出ることを考えると、光回線としてはかなり物足りない速度です。
では中継器を経由した場合の速度はどうでしょう?
数値は140Mbps~160Mbpsと劇的に向上。これほど違うと体感的にも明らかな差が出てきます。接続も安定し、不意に回線が切断されることも無くなりました。
少なくとも僕の環境では、中継器によってWi-Fiの品質が改善したと言えます。
無線LAN中継器を購入する際の注意点
最後に中継器を購入する際、気をつけたいポイントについてお話しておきましょう。
Wi-Fiルータとの相性は気にしなくてOK
「今使っているWi-Fiルータでちゃんと使えるかどうか心配」という方、安心してください。ちゃんと使えます。
というのもWi-Fi自体は統一規格であり、メーカーによって仕様が違うなんてことはあり得ません。今現在Wi-Fi環境があるなら、ほぼ全ての中継器はそのルータで使えます。
なお「光回線はあるけどWi-Fiが無い」という場合は、Wi-Fiルータを別途設置する必要があります。
Wi-Fi6対応機種は価格と応相談
現在のWi-Fi規格は6種類あり、最新の規格はWi-Fi6。「11ax」とも表記されます。
規格 | 最高速度 |
---|---|
11ax (Wi-Fi6) | 9.6Gbps |
11ac (Wi-Fi5) | 6.9Gbps |
11n | 300Mbps |
11g | 54Mbps |
11a | 54Mbps |
11b | 11Mbps |
「とにかく長く使えるものが欲しい」あるいは「Wi-Fi6対応のNASを使っている」なら、この11axに対応した機種を選ぶのがいいでしょう。ただしWi-Fiルータや子機側 (PCやタブレットなど) でWi-Fi6に対応しているものはまだ多くありません。
また価格が多少割高になってしまうので、それに見合った価値があるかどうかは微妙。インターネット用に使うならWi-Fi5 (11ac) に対応していれば十分です。
有線LANポートの有無
Wi-Fiに対応していない機器 (デスクトップPCなど) を中継器に接続するには2つの方法があります。
- 中継器の有線LANポートに接続する
- 外付けのWi-Fi子機 (受信機) を取り付ける
このうち1の方法を使うなら、有線LANポートが搭載されている中継器を購入しましょう。低価格帯の中継器にはポートが無いものもあるので注意してください。
ただ僕のおすすめはUSB接続の子機です。価格も1000円台と安く、USBに差し込むだけでデスクトップPCをWi-Fi対応にできるのでおすすめ。
ちなみに僕がつかっているのはこちら。邪魔にならず感度にも不満はありません。
まとめとおさらい
今回のまとめ。
- Wi-Fiの電波が弱い、接続が不安定なら中継器を試す価値は大いにある
- 初期設定は超簡単。ただWPSボタンはルータによって呼び名が異なる
- 中継器は一般的なWi-Fiルータなら、どんな機種でも大抵は使える
- 無線LAN規格は「11ac」に対応していれば十分
3000円でストレスが解消できたので、僕としては大満足でした。おすすめ。