僕が初めて購入したパソコンはiMacでした。しかしそれは20年も前の話。
そこから現在に至るまでDynabook → VAIO → Thinkpad3台 → Dellと渡り歩き、自作PCも何台か組んでいますが、Macはその一台きり。
つまり僕の人生の大半はWindowsとズブズブの関係です。
そんな僕が2021年、新たな相棒としてお迎えしたのはM1 MacBook Airでした。スペースグレイでメモリ8GB、ストレージは512GBのUS配列キーボード。
3週間ほど使ってみた結果、確かに素晴らしい。しかし正直「ここはWindowsと大差無い」と感じる部分もいくつかあります。
ということで今回は、
- Macの「ここは普通」- YouTubeやブログ記事でよく見かける『Macのメリット』にツッコミを入れる
- Macの「ここが良い!」- Windowsユーザーが驚かされたMacの魅力
- WindowsユーザーがMacにすんなり移行するためには?
以上のメニューでお送りします。
Macの「ここは普通」
まずはじめに、僕がMacを手にして「言うほど大したことないな」と感じた部分をお話しておきます。
部分的にディスっている感じに映るかもしれませんが、僕は決してMacをディスるつもりはありません。世に溢れるMacバンザイなYouTuberやブログ記事に一言ツッコミを入れたいだけです。
筐体デザイン
- Macはデザインがいい!
いきなりで申し訳ありませんが、もう聞き飽きたわそれ。
確かにMacはミニマルデザインで、完成された美しさがあります。でも他と比べてそんなに飛び抜けているでしょうか?
例えばHPの大ヒットモデル、Spectre (スペクトル) はどうでしょう。特徴的なダイヤモンドカットや配色は、まさに「エレガント」を形にしたようなマシンです。
ThinkPad X1 Carbonも個人的には素晴らしいと感じます。この無骨なデザインとキーボードの打鍵感に惚れ込んだ方も多いでしょう。僕もその一人です。
DellのXPS13は驚きの狭額縁。全体の質感もMacBookに引けを取りません。
「やればできる」を体現してみせたMicrosoft Surface Pro。8は基本設計レベルから刷新され、一段と洗練された印象に。
「筐体のデザインがいい」など、もはやMacだけの形容詞ではありません。それはもう何年も前から。
トラックパッド
- Macはトラックパッドの操作が快適で、もうWindowsには戻れない!
- Windowsのノートパソコンはマウス必須で使いにくい!
上は個人の感想だからともかくとして、下は何なんでしょう。15年前の知識で喋ってるんでしょうか?
一応お伝えしておきますが、現在のWindowsは標準でタッチパッドのジェスチャが使えるし、3本指、4本指ジェスチャにも対応しています。
【設定 > デバイス > タッチパッド】で設定画面を開いてみましょう。
「Windowsのノートパソコンはマウスが必須」なんてのはWindows10よりも前の話。逆に僕としては、Mac標準のトラックパッド設定には若干不満を感じます。
『その他のジェスチャ』で呼び出す機能が固定されてるのは何かメリットがあるんでしょうか?
例えば「デスクトップを表示」という機能を使わない場合、このジェスチャー自体が無駄になってしまいます。もっとフレキシブルに他の機能を割り当てられれば、より便利になると思うのですが……。
ついでに言うと『スクロールの速さ』と『3本指ドラッグ』の設定が、
【システム環境設定 > アクセシビリティ > ポインタコントロール > トラックパッドオプション】
という全く別の場所に配置されているのは違和感しか感じません。
3本指ドラッグの滑らかな挙動はWindowsでは味わえないユニークな感覚。ぜひ一度試してみたいものですが、そこにたどり着くまでに迷ってしまうのは問題です。
Windowsでも似たような問題があります。しかしこれって誰も不満に思わないんでしょうか? トラックパッドの設定画面にこの項目へのリンクを付け加えるだけでも違うと思うんですが……。
フォント
- Macはフォントが綺麗だけど、Windowsは汚い!
これもメチャクチャよく聞きます。しかしこの一言だけ言い放つ輩は、Appleから脅迫でも受けてるんじゃないでしょうか?
「フォントに関しては一言で終わらせろ」と。
上のセリフをそのまま文字通り受け取ると「Macが採用しているフォント (ヒラギノ角ゴシック) は、Windowsが採用しているフォント (游ゴシック) より綺麗!」となります。
ではお尋ねしましょう。どれがMacのフォントで、どれがWindowsのフォントでしょうか?
Macのフォントが他と比べて特別美しいわけではありません。
MacBookはその画面サイズ (13インチ) に対して2,560 x 1,600ピクセルと (数年前の基準では) 異常なほど解像度が高いディスプレイを搭載し、その上で描画範囲を犠牲にして文字やアイコンに多くのピクセルを使い、滑らかに表示しています。簡単に言えば、これがRetina Displayです。
つまり本来褒めるべきは、MacBookのディスプレイ解像度とRetina Displayという名のスケーリング技術をいち早く実装したことであって、「フォントが綺麗」などという一言で片付けるのはただ単にこの説明が面倒臭いか、あるいは『分かってない人』。
美しいフォントを楽しみたいなら高解像度のディスプレイを導入し、150%以上のスケーリング (拡大表示) をかけてください。MacかWindowsかなんてことは関係ありません。
(ただしヒラギノフォントはMacにしか標準搭載されていないことは付け加えておきます)
重量
- MacBook Airは軽くて、どこにでも持っていける!
実際に量ってみました。
実測値は1.27kg、Appleの公称値では1.29kg。MacBook Pro 13インチは1.4kg、新しい14インチに至っては1.6kgあります。
この数値はお世辞にも軽いとは言えません。参考までに13〜14インチクラスのWindowsマシンの重量をいくつか見てみましょう。
モデル名 | インチ数 | 重量 |
---|---|---|
Surface Laptop 4 | 13.5 | 1.26kg |
HP ENVY x360 | 13.3 | 1.24kg |
Dell XPS 13 | 13.4 | 1.2kg~ |
Thinkpad X1 Carbon 9th Gen | 14 | 1.13kg |
VAIO SX14 | 14 | 999g |
dynabook GZ/HS | 13.3 | 888g |
FUJITSU LIFEBOOK WU4/F3 | 13.3 | 634g~ |
「軽い」なんて言ってる人はMacしか持ったことがないか、1.2kg後半では負荷が足りないムキムキマッチョマンかのどちらかです。
安定性
- Macはソフトウェアの動作が安定しているけど、Windowsは不安定!
そのWindows、まさかMeじゃないですよね?
現在のWindowsは非常に安定して動作します。アプリが固まったり落ちることもほとんどありません。ブルースクリーンなど、普通の使い方をしていれば何年も見ることはないでしょう。
逆にM1 Macはそこまで安定性が高いとは思えません。Dockの動作が怪しくなるなんてのは日常茶飯事だし、バックグラウンドで動作しているプログラムが悪さをして、マシンが異常なほど熱くなったこともあります。
少なくとも「Macは安定していてWindowsは不安定」なんてことはありません。
セキュリティ
- Macはセキュリティが高くて安心だけど、Windowsはセキュリティソフトが必要!
もはや何から突っ込んでいいかわからないレベル。 20年前からいらっしゃったんでしょうか?
個人で使うレベルならMacでもWindowsでも関係無く、セキュリティはOS標準の機能で間に合います。
僕は自分のマシンにセキュリティソフトなんて15年はインストールしていませんが、ウイルスが検出されたことは一度もありません。
本気でWindowsが危険だと「なんとなく」思うなら、まずはあなたのリテラシーと情報の古さを疑うべきでしょう。
Macの「ここが良い!」
Apple信者の皆さん、誤解しないでください。僕はMacが大好きです☆
ここからはWindowsユーザーが驚かされた、Macの良いところをご紹介します。
iPhone / iPadとの連携
改めて言うまでもありませんが、iPhoneやiPadとの相性は半端ないです。初回セットアップ時、何もしなくてもサイドカー機能が有効になり、横に置いてたiPadに画面が映り始めたのは正直ビビりました。
この他にも例えば、
- Macでスクリーンショットを撮る
- 右下に出てくるサムネイルをクリックして編集画面に入る
- iPadにも画像が表示され、どちらでもリアルタイムで編集できる
こんなのはさすがにWindowsではあり得ない。僕の無印iPad (第6世代) も大喜びですよ。
強調しておきたいのは、僕は何一つ設定していないってことです。
バッテリー持ちが異常
これもYouTube動画などではよく言われてますが、「まぁ、言うてそこまで驚かんやろ」と思ってました。Windowsユーザーにとってノートパソコンのバッテリーとは、
- あくまでサブ電源
- バッテリーで起動しても、無意識に電源の取り口を探している
- 「残り7時間」だったはずが、30分後には「残り1時間」になってたりする
- ACアダプタのケーブルをアンビリカルケーブルって呼んでる
こんなのがあるあるですよ。いくらバッテリー持ちが良いっていっても……ねぇ……
言葉悪いけどクソほど持つぞこのバッテリー。
テキストを打ち込んだりWebを閲覧したりといった軽い作業なら、一日中使ってもACアダプタ不要。これは確かにマジの情報でした。
思っていたよりM1チップの電源管理が凄まじいことがうかがえます。
仮にACアダプタを持っていくとしても、MacBook Airの充電に必要な電力は30w。30wですよ。つまりこんな極小サイズのアダプタで事足りるわけです。
ノマドスタイルにばっちり。そりゃスタバで開きたくもなるわ。やらないけど。
無音、高パフォーマンス
Windowsマシンの不満点はバッテリー以外にもあります。それが『雑音』、いわゆるファンノイズです。
固有名詞は伏せますが、モデルによってはひどいもんですよ。
Chrome開いてるだけなのに「シャーーー!」
Windows Updateしてるだけで「シャーーー!」
キーボードも熱くなるし、たまったもんじゃありません。
一方MacBook Airはファンレスなので、当然ですがそういったノイズは皆無です。そして皆さんご存知の通り、作業内容によってはデスクトップPCにも迫るほどの高パフォーマンス。
やりやがったなTSMC。
とにかくM1チップが最高すぎる。もうね、5年先に行っちゃってんのよ。本気でIntel潰す気か?
高コスパ
これだけ素晴らしいマシンが11万円台ですよ。ハッキリ言ってこれ以上コスパの良いノートパソコンは無い!
そりゃ上位モデル選んだり、メモリやSSDの容量増やせばどんどんコスパ悪くなりますよ。Appleは『アップグレードで稼ぐ』スタイルなんだもん。
最高のコスパ求めるならiPhoneなんて型落ちでいいし、iPadはデザインや音楽のプロでもなければ無印で十分。MacBookはメモリもSSDもアップグレードしないに限ります。
それでも何か1つアップグレードするなら、僕が人にお勧めするのはメモリです。8GBでOKとも言われていますが、Chromeを起動しただけでシステム全体では5GB以上のメモリを使用します。
しばらく使ってみた正直な感想を言えば、重い作業をするならやはり16GBあった方が安心でしょう。
WindowsユーザーがMacにすんなり移行するために
そんなわけでWindowsユーザーの皆さん、Macも使ってみると案外快適ですよ。
しかし「Windowsのあの機能が無い」「あのアプリが使えない」など、初見では戸惑う部分も当然ながらいくつかあります。
この記事の締めとして、Windowsに慣れた人がMacに触れたときに戸惑いそうな部分、そしてその解決法をいくつかご紹介しておきましょう。
Win + 数字キーが使えない
Windowsユーザーなら多くの方がご存知であろうショートカットキー。タスクバーにピン留めされたアプリは、Windowsキーと数字キーの組み合わせで起動できます。
しかしDockにはこの機能がありません。これが地味に不便。たかがアプリ起動するのにカーソルを合わせるとか面倒なことはしたくない。
この問題を解決するために導入したのが、Macでは超定番のアプリである『Alfred』です。
本来はローカルファイルやインターネットを検索するためのアプリですが、コマンドラインランチャとしても優秀。アプリ名の冒頭を入力して一番上にリストアップされればreturnで起動できます。
無料で使える機能ではさすがにショートカットキー一発でアプリを起動させることはできませんが、Mac標準のスポットライトより操作性が良く、多機能でおすすめ。設定を変更すればスポットライトのショートカットキーである⌘ + Spaceで発動可能。
F7キーでカタカナ、F10キーでアルファベットに変換
僕は結構多用してましたが、F7で全角カタカナ、F10で半角アルファベットに変換する機能。Mac標準のIMEでも設定すれば使えます。
【システム環境設定 > キーボード】で『F1、F2などのキーを標準のファンクションキーとして使用』にチェックを入れましょう。
なおGoogle日本語入力の場合、標準設定でこの機能が有効なので、特に変更する必要はありません。
AutoHotkeyが使えない
AutoHotkeyはWindows専用アプリ。Macには対応していません。これは困る。
何しろ僕のWindowsマシンのCapsLockは単独押しでEnterを送出するし、CapsLock + 1でサイドバーが開閉したりInsertでWordPressから画像をコピペしたり……。もうAutoHotkeyに依存しまくっているわけです。
しかしAutoHotkey中毒の皆さん、ご安心ください。こういった機能もMacの定番アプリ、『Karabiner-Elements』と『BetterTouchTool』があれば簡単に実装できます。
BetterTouchToolは有料アプリですが、45日間の試用期間があるので試してみてください。ちなみに僕は即買いしました。もうこれ無いと無理。
キーボードだけではなく、トラックパッドも劇的に使いやすくなります。Macのトラックパッドが使いやすいって言ってる人、このアプリ使う前提じゃないの?
Tablacus Explorerが使えない
Windowsユーザーは全員入れるべきアプリ第二弾、Tablacus Explorerです。ファイルやフォルダを管理するエクスプローラーの代替アプリですが、これもMacでは使えません。
MacのFinderって、言いたくないけどあんまりなんですよね……。そりゃWindowsのエクスプローラーもだけど、このアプリは無料、しかもインストール不要とかいう神がかった存在。
これも探してはみましたが、残念ながらまだ見つかっていません。
Finder代替を謳う有料アプリはいくつかあれど、Tablacus Explorerのようにビビッとくるアプリではないんですよね…。
Macアプリに詳しい方、良さげなFinder代替アプリがあれば教えて下さい。
今回のまとめ
今回は『WindowsユーザーがMacを使ったときにどう感じるか』という視点でお話ししてきました。
- 「デザインが良い」「フォントが綺麗」と一言で片付けるな
- MacBookは (どちらかと言えば) 重い
- iPadやiPhoneとの連携はやっぱりスゴい
- M1チップ最高!
- WindowsからMacへは割とすんなり移行できる ただしBetter Touch Toolは有料
結論: これからのノートパソコンはファンレスに限る。
以上です。
2020 Apple MacBook Air Apple M1 Chip (13インチ, 8GB RAM, 256GB SSD) – スペースグレイ