パソコンのキーボードで最も忌み嫌われているキーとは?
そう、『CapsLockキー』です。
このCapsLockキーと人類との戦いは長きに渡り、ネット上では既に先人たちによって様々な対策が練られてきました。
- 単純に無効化する
- Ctrlキーを割り当てる
- 半角/全角キーを割り当てる
- Enterキーを割り当てる
しかし敢えて言いましょう。どれもヌルいと。
CapsLockキーを無効化する? なんてもったいない!
僕は今回、このCapsLockキーを超便利なキーに変更し、この戦いに終止符を打ちたいと考えています。例えばこんな感じに。
- 単体で押したときはEnterキーとして働く
- W/A/S/Dとの組み合わせで矢印キーとして働く
- 他の文字や修飾キーとの組み合わせで、好きなアプリやフォルダを開く
そして一度設定してしまえば、その設定は他のマシンでも使える!
この記事の内容を実践すれば、あなたはきっとCapsLockキーが好きになるでしょう。
準備
用意するもの
今回必要なアプリは2つ。
それぞれダウンロードしましょう。Change Keyは解凍するだけでOK。AutoHotkeyは.exeファイルをダブルクリックしてインストールしてください。
インストール途中に出てくる選択肢は『Express Installation』と『Exit』を選択すればOK。
Change KeyでCapsLockを別キーに変更する
最初にCapsLockキーを実際には存在しないファンクションキーである『F13』に変更しておきます。フォルダを開き、.exeファイルを右クリックして管理者として実行してください。
こんな画面が開くので、画面左端『CapsLock』をクリック。
緑の画面が新たに開きます。ここでは画面右上端、『Scan code』をクリック。
スキャンコードを入力するボックスが開くので、半角で『0064』と入力しましょう。
この状態で『OK』を押すと、再び青い画面に戻ります。
『CapsLock』が『Scan code』に変更されていることを確認して、メニューの【登録】>【現在の設定内容で登録します】を選択。
再起動するかどうかのダイアログが開きます。一旦マシンを再起動しましょう。
これで準備は完了です。
AutoHotkeyのファイルを作成する
ここからはAutoHotkeyの出番。とは言っても、スタートメニューから普通に起動してもダメ。ヘルプファイルが開くだけです。
AutoHotkeyは通常のアプリとは異なり、実際に起動するのは特別な拡張子『.ahk』を持つファイルでなければなりません (例外もありますが、今のところはそう考えてください) 。
つまり現在の状態は、この.ahkファイルが読み込めるようになったというだけ。このファイルは基本的に、ユーザーが自分で用意する必要があります。
しかしこの.ahkファイル、中身はただのテキストファイルなので、簡単に作成できます。やってみましょう。
ahkファイルの作成
適当なフォルダで右クリック → 新規作成 > テキストドキュメントを選択。
テキストファイルの名称変更で、拡張子も含めて変更してください。ここでは『test.ahk』としておきます。
アイコンがこんなふうに変更されれば、AutoHotkeyが正常にインストールされている証拠。
CapsLockキーをEnterキーや修飾キーとして使う
ahkファイルを編集
このファイルを編集し、CapsLockをEnterキーや修飾キーとして使ってみましょう。
もう一度ファイルを右クリック → 『Edit Script』を選択。
真っ白のテキストファイルが開くはずです。ここに下のテキストを書き込みます。
;CapsLockでEnter
F13:: Send, {Enter}
;CapsLock+WASDで矢印キー
F13 & w:: Send, {Up}
F13 & a:: Send, {Left}
F13 & s:: Send, {Down}
F13 & d:: Send, {Right}
セミコロン( ; )で始まる行はコメント行として扱われ、内容は無視されます。メモなどはコメント行に書き込みましょう。
初回保存時は文字コードに注意!
この状態で保存しますが、1つだけ注意点。
初回保存時に限り、上書き保存ではなく『名前を付けて保存』を選択し、文字コードを『UTF-8 (BOM付き) 』で保存してください。
現時点では変更しなくても大きな問題にはなりませんが、今後の設定によっては文字化けしてしまう可能性があります。
ファイルを実行して動作確認
保存してからファイルをダブルクリックすると、
タスクバーにアイコンが現れました。この状態のときに限り、ファイルに書き込まれた内容が有効になります。CapsLockキーの挙動を確かめるために、この.ahkファイルを再び開いてみましょう。
ファイルが起動している状態でタスクバーのアイコンを右クリックすると、AutoHotkeyのメニューが現れます。ここで『Edit This Script』を選択。
先ほどと同じようにメモ帳が開きます。ファイルの先頭でCapsLockキーを押すと、
Enterが入力され、改行されました。同じようにCapsLock + Wなどのショートカットキーでカーソルが動くか確かめてみてください。
トラブルシューティング
ここまでの手順で「ファイルをダブルクリックしても、エラーが出て起動できない」という方、エラーメッセージをよく確認してみましょう。
エラーメッセージの1行目は「どこでエラーが起こっているか」を示しています。「line 1」なら1行目。
その上でもう一度ファイルを開いて確認してみると、
行の最初の文字、セミコロン( ; )がコロン( : )になっています。このように些細な間違いでもAutoHotkeyは見逃してくれません。
もう1つありがちな例を挙げると、
『F13』と『::』の間にスペースが。
よく見ないと気が付かないほどの違いですが、これもエラーの原因になります。
他の修飾キーとCapsLockキーを組み合わせる
では次の段階に進みましょう。先ほどはCapsLockを修飾キーとして使い、矢印キーを送出しました。
続いてAltやCtrlなど本物の修飾キーとCapsLockを組み合わせ、好きなアプリやフォルダを起動したり別のショートカットキーを呼び出してみます。
.ahkファイルを開き、下のテキストを追記してください。(開きたいアプリやフォルダがあればそちらを使いましょう)
;Alt + CapsLock アプリ(Google Chrome)を開く
!F13:: Run, C:\Program Files\Google\Chrome\Application\chrome.exe
;Win + Capslock ピクチャフォルダを開く (ユーザー名は適宜変更)
#F13:: Run, C:\Users\ユーザー名\Pictures
;Ctrl + CapsLock Webページを開く
^F13:: Run, https://google.co.jp
;Shift + CapsLock Win+Eを送出 (エクスプローラーを起動)
+F13:: Send, #e
修飾キーは#や+などの特別な記号 (シンボル) によって指定します。またこの場合、複数キーの組み合わせでも『&』は必要ありません。
修飾キー | 表記 |
---|---|
Alt | ! |
Win | # |
Ctrl | ^ |
Shift | + |
左のキーを指定 | <!、<#など |
右のキーを指定 | >^、>+など |
追記できたら上書き保存し、タスクバーのアイコンを右クリックして『Reload This Script』を選択。その後動作を確認してみましょう。
ファイルの保存とリロードをショートカットキーで行う
AutoHotkeyを使うと、このように簡単なコマンドを記述することで様々な命令を実行できます。しかし.ahkファイルを編集して動作を確認するには、
- 『Edit This Script』でファイルを開く
- ファイルを編集して上書き保存
- 『Reload This Script』で再起動
という手順が必要で若干面倒です。そこで、この動作もCapsLockキーで実行してしまいましょう。
先ほどと同じ手順でファイルを開き、以下のテキストを追記します。
;ahkファイルの編集
F13 & e:: Edit
;ahkファイルのセーブ&リロード
F13 & F5::
Send, ^s
Reload
Return
AutoHotkeyでは複数行にまたがるコマンドも記述できます。つまり1つのショートカットキーで、
- アプリ1を起動
- アプリ2を起動
- 指定フォルダを開く
など複数の命令を実行することも可能です。ただしその場合、最終行にコマンドの終わりを示す『Return』を付け加えてください。
保存してリロードすると、今後はCapsLock + Eでahkファイルが開き、CapsLock + F5でファイルが保存され、同時にリロードされます。
その他の代表的なコマンド
今回作成したコマンドは誰にでもすぐに実践できる、ごく簡単なもの。しかしAutoHotkeyには他にも数多くの便利なコマンドが存在します。実際に何ができるか、そのほんの一部をご紹介しましょう。
コマンド | 意味 |
---|---|
指定キーを無効化する | 『::』の後に何も記述しない |
Shutdown | Windowsをシャットダウン/再起動/スリープ |
FileRecycleEmpty | ゴミ箱を空にする |
WinMaximize/WinMinimize/WinRestore | ウインドウを最大化/最小化/元に戻す |
SoundGet/SoundSet | システムの音量を取得/音量を設定 |
MouseMove/MouseClick | マウスを移動/マウスをクリック |
PixelGetColor | 指定座標の色を取得 |
MsgBox/ToolTip | メッセージボックス/ツールチップを表示 |
#IfWinActive/#IfWinExist | 指定したウインドウがアクティブ/存在するかどうかで処理を分岐 |
Sleep | 指定時間待機 |
KeyWait | 指定キーが押される/離されるまで待機 |
ファイルをexe化する
今回はChange KeyとAutoHotkeyを使い、CapsLockキーを便利なキーに変更しました。
この設定はChange KeyでCapsLockをF13キーに変更できさえすれば、他のマシンでも利用できます。その際、AutoHotkeyのインストールは必須ではありません。
今回の締めとして、これまでに編集してきたahkファイルを単独起動可能なexeファイルに変換しておきましょう。
といっても操作は非常に簡単です。まずスタートメニューから【AutoHotkey】>【Convert .ahk to .exe】を起動します。
あとは開いたウインドウにahkファイルをドロップし、『Convert』ボタンを押すだけ。
ドロップしたファイルと同名のexeファイルが新規作成されます。
このファイルはAutoHotkeyがインストールされているかどうかに関わらず、単独起動が可能です。その代わり編集は不可能なので注意してください。
結論
もうAutoHotkeyがあれば何でもできちゃう。ということで、より詳しく知りたい方は他の記事もどうぞ。